主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:成熟児のasphyxiaとcerebral palsy
回次: 31
開催地: 大阪府
開催日: 2013/01/25 - 2013/01/26
p. 93-98
新生児の低酸素性虚血性脳症(hypoxic-ischemic encephalopathy:HIE)に対する脳低温療法(brain hypothermia therapy:BHT)は,2005年のNICHD trial1)やCoolCap trial2)の報告を筆頭に世界各国で大規模ランダム化比較試験(RCT)が行われており,その有効性は生後18カ月の死亡率や神経学的障害を減少させることで確認されている。また長期予後についてはNICHD trial3)やCoolCap trial4)で報告され,結果は生後18カ月と同じ傾向であり,6〜7歳時予後の報告では,脳低温療法は死亡率または重度の神経学的障害発生率を減少させ,また生存者における重度の後遺症発生率は増加しなかったとしている4)。
一方,脳低温療法導入前のHIEでは,長期予後の検討が多く報告されており,運動障害や脳性麻痺を合併しない,中等度のHIEでは認知能力や言語能力が低下するため学習障害や行動異常,短期記憶障害のリスクが上がるといわれている5〜7)。しかしHIEにBHTを行った児での長期的予後の報告はまだ少なく,特に運動障害のない児では学習面や行動面の評価が必要である。