主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母体・胎児・新生児の立場から常位胎盤早期剥離を考える〜母児の予後改善のために〜
回次: 36
開催地: 長野県
開催日: 2018/01/19 - 2018/01/20
p. 73-78
背景と目的
常位胎盤早期剝離(早剝)による母児の予後改善のために必要な3つのポイントが知られている。それは,時間の短縮,止血異常の補正,そしてリスク因子の同定である1)。これらの中で時間に着目すると,発症から医療従事者に知らされ,診断の各ステップの時間を経て治療に至る。さらに,搬送が必要な場合は,搬送依頼,決定,搬入までの時間が加わる。そこで,この搬送時間を短縮するために,大阪府産婦人科診療相互援助システム(OGCS)では,早剝症例を「胎児救急」として依頼から30分以内の搬入を目指している。OGCSは,大阪府での産婦人科医療機関の相互連携システムで,母体搬送および産婦人科救急患者を全数受け入れるために最大限努力し,情報や医療の提供を行っている。これにより患者生命の安全と健康の増進に寄与することを意図して作られた。
このように時間の短縮が重要なことはわかってはいるが,時間経過の各所要時間に着目した報告はまだない。そこで,迅速な搬送を目指した大阪府での発症から分娩までの各所要時間と母児転帰との関連およびその背景を明らかにするために2つの検討を行った。