主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム
回次: 4
開催地: 東京都
開催日: 1986/01/18
p. 54-63
I はじめに
羊水が胎児の発育に重要な役割を果たしていることは周知の事実である。なかでも胎児の肺の発育に羊水は不可欠であり,羊水がきわめて少ないか存在しないために肺の発育が阻害され,出生後早期に呼吸障害で死亡する症例は羊水過少症候群とよばれている1, 2)。このような症例の代表として古典的にはPotter症候群が知られている3)。また近年妊娠中期以前に破水し漏出が遷延した胎児における肺の低形成が注目されてきている4, 5)。
羊水過少症侯群は現状では致死的疾患であるとされるが,本シンポジウムでは①Potter症候群を初めとする羊水過少症候群は予想以上に発症頻度の高い疾患ではないか,そうであるとすれば,②このような症例の経験をふまえて,長期生存への可能性を追及できないか,以上について自験例を中心に検討を試みたい。