主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:周産期感染症への対応を再考する−これからの課題と対策−
回次: 41
開催地: 愛知県
開催日: 2023/01/13 - 2023/01/14
p. 44-49
背景・目的
新生児集中治療室(NICU)に入院する児は未熟性が高いことが多いため,感染症による死亡率が他の年齢層より高く1),また,神経学的予後への影響にも配慮が必要となる2,3)。しかし,新生児は感染症状に乏しく,発症の判断や感染部位,起因菌等の予測が難しい。これらより,NICUで感染症が疑われた際は広域スペクトラムの抗菌薬を使用せざるをえないことも多い。近年,感染症に対して,抗菌薬選択,使用量,期間を体系的に管理することでより効果的な治療を行い,さらには薬剤耐性に配慮することが重要になっている4)。
一方,NICUにおいて監視培養(surveillance culture:SC)は,薬剤耐性菌等の拡大防止に対する有用性が報告され,本邦のNICUにおいても約94%の施設でSCが行われている5)。しかし,採取部位や採取間隔などについては確立されたものはなく,さらに,感染症治療におけるSCの有用性に関する報告は乏しい。
そのため,今回,早産児における遅発型感染症の発生状況を調査し,さらに,抗菌薬適正使用という観点からSCの有用性について,SCと感染症起因菌の関連,採取部位や採取間隔などを含んだ検討を行った。