主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:周産期感染症への対応を再考する−これからの課題と対策−
回次: 41
開催地: 愛知県
開催日: 2023/01/13 - 2023/01/14
p. 39-43
背景・目的
早産児,極低出生体重児の早発型感染症は,呼吸障害や循環不全などを呈し,致死的になることもある1)。症状が特異的ではないため,感染症発症の判断が難しく,さらに起因菌の推定が困難である。早発型感染症の発症頻度は,在胎週数34週未満で0.6%,29週未満で2%,22~24週で3.2%と報告されており2),発症頻度は低いにもかかわらず,在胎週数や母体情報などを参考に,幅広い対象に広域の抗菌薬治療を開始せざるをえない。
Neonatal Early-Onset Sepsis Calculator3)など,満期産児ならびに後期早産児においては早発型感染症の予測手段が報告されているが,これらはより早産や低出生体重の児へは適応できない。これらの児においても,出生時に得られる情報から早発型感染症,さらには起因菌を予測することができれば,必要な児に適切な抗菌薬治療を行うことができる可能性があると考えられた。
今回の研究では,早産児,極低出生体重児の早発型感染症に関連する周産期因子について検討し,出生時の感染症を予測するモデルを作成することを目的とした。
また,当センターでは出生時に児の胃液のグラム染色を長年行っている。羊水のグラム染色が早発型感染症の起因菌の推定に有用であるとの報告があり4),児の胃液のグラム染色を行うことが早発型感染症の予測に有用であると予測され,胃液のグラム染色に特に着目した。