主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:周産期の栄養と代謝を考える
回次: 42
開催地: 茨城県
開催日: 2024/01/26 - 2024/01/27
p. 24-28
はじめに
短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)は大量小腸切除により残存小腸が短くなった結果,栄養・水分の吸収が不十分となり,長期にわたる静脈栄養(parenteral nutrition:PN)管理を必要とする病態である。SBSの残存小腸長について,欧米では出生時在胎週数の予測小腸長の25%以下としている報告がある1)。この報告からすると,在胎週数40週の予測小腸長は160cm程度であり,約40cm以下がSBSということになる。本邦では歴史的に残存小腸長75cm以下を短腸症候群とした報告が多い。最近の小児慢性特定疾患では乳幼児期症例では残存小腸30cm未満として定義している。
小児におけるSBSの原因疾患として,北米の施設を中心としたSquiresらの272例の報告では,壊死性腸炎が26%と最も多く,ついで,腹壁破裂16%,腸閉鎖症10%,腸回転異常に伴う中腸軸捻転が9%と報告されている2)。一方,本邦においては2013年の福澤らの小児・乳児280例の全国調査では,腸回転異常に伴う中腸軸捻転18%,腸閉鎖症14%,壊死性腸炎3%,腹壁破裂2%と報告されている。このように,欧米と本邦ではSBSにいたる原因疾患が異なっている。