周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第42回
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プレコングレス
短腸症候群の栄養管理update
加治 建
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p. 24-28

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抄録

 はじめに

 短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)は大量小腸切除により残存小腸が短くなった結果,栄養・水分の吸収が不十分となり,長期にわたる静脈栄養(parenteral nutrition:PN)管理を必要とする病態である。SBSの残存小腸長について,欧米では出生時在胎週数の予測小腸長の25%以下としている報告がある1)。この報告からすると,在胎週数40週の予測小腸長は160cm程度であり,約40cm以下がSBSということになる。本邦では歴史的に残存小腸長75cm以下を短腸症候群とした報告が多い。最近の小児慢性特定疾患では乳幼児期症例では残存小腸30cm未満として定義している。

 小児におけるSBSの原因疾患として,北米の施設を中心としたSquiresらの272例の報告では,壊死性腸炎が26%と最も多く,ついで,腹壁破裂16%,腸閉鎖症10%,腸回転異常に伴う中腸軸捻転が9%と報告されている2)。一方,本邦においては2013年の福澤らの小児・乳児280例の全国調査では,腸回転異常に伴う中腸軸捻転18%,腸閉鎖症14%,壊死性腸炎3%,腹壁破裂2%と報告されている。このように,欧米と本邦ではSBSにいたる原因疾患が異なっている。

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