主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム
回次: 8
開催地: 大阪府
開催日: 1990/01/20
p. 117-124
はじめに
先天性横隔膜ヘルニア(congenital diaphragmatic hernia;CDH)の治療成績は近年の新生児医療の充実の中にあってなお満足できていない。その主たる理由は,患児が同時に持ちあわす肺の低形成による換気障害という病態を克服できないこともさることながら,胎児循環の持続(persistent fetal circulation;PFC)という独特な病態の発見1)とその管理法の開発が遅れたところにある。しかしながら,過去十数年間におけるこの方面での研究は著しく,人工換気法の工夫2)に始まり,種々な薬物療法の導入3),そしてごく最近では人工肺を用いた体外循環法(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)の応用4)などによって治療成績に改善が認められてきた。私どもも十数年前からこの疾患に注目し多方面から検討を加えているので5~7),現時点における管理法を中心に報告する。