周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第9回
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シンポジウム B:自己免疫疾患合併妊娠における母児管理
シンポジウムのまとめ「新生児管理」
藤村 正哲
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p. 148-149

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抄録

 新生児が子宮内環境から出生してくるまぎれもない事実の良い例として,妊婦の自己免疫疾患は小児科医にも教訓的な課題である。

 小児科サイドからみると自己免疫疾患を合併した妊婦から出生する新生児を診療する機会はそんなに多いものではない。特に産科のない施設では,児に問題が顕存化していない場合以外は紹介される頻度も少ない。そうであるからこそ,新生児の病態を常に周生期的なアプローチから理解することの重要性を一層認識させるものである。

 現在の臨床では,妊婦自己免疫疾患から出生した新生児に対して,小児科サイドが行うことのできる根治的治療法はまれである。その予後に影響を与えるような有効な治療法は,一部の例を除いて見当たらない。そういう意味では小児科医にとって腕の見せ場の少ない疾患群ではあるが,それをもって小児科の立場から関与する意義を小さくすることがあってはならない。特に児の予後を十分に検討することが大切である。

 多くの症例を経験する小児科医が少ない現状からみて,予後の検討には共同研究も大切になるだろう。今回の学会を契機として,全国のNICUの入院状況の調査が行われたことは,その第一歩としての大きな意味があると思われる。

 小児科サイドのまとめとして,4つの表を示しておきたい。いずれも本学会の各演者によって詳細に述べられてきたことであるが,これから入院してくる新生児の診療にあたってのスタートして活用いただければと希望する。

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© 1991 日本周産期・新生児医学会
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