主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:自己免疫疾患合併妊娠
回次: 9
開催地: 東京都
開催日: 1991/01/20
p. 55-61
はじめに
自己免疫疾患はその多くが妊娠可能年齢の女性の疾患であり,妊娠・分娩との関わりが大きな問題となる。一方,自己免疫疾患の症状は認められなくとも,繰り返す流早産の既往がみられる患者も数多い。
自己免疫疾患の胎児および胎盤所見に関しての論文は極めて少なく,また,教科書の記載も非常に乏しい1-4, 10)。自己免疫疾患でなぜ流早産が多いのか? IUGRが多いのか? それは妊娠中毒症などと関連する阻血性病変によるのか? それとも別のメカニズムによるのか? 胎児に奇形や臓器障害は起こすのか? これらのことに答えを出している敦科書や論文は皆無であろう。
今回,これらの疑問に対し,解答を出すまでには至らぬまでも,いくつかの問題提起としてお示ししたい。
本稿は大きく3つに分かれる。第1はSLE胎盤に関するもので,次いでACA陽性胎盤の検討であり,最後に自己免疫疾患の流早産の胎児に関する検討を述べる。