抄録
高齢者の車いす座位において,骨盤の後傾した「仙骨座り」は仙尾骨部に圧力やずれ力をもたらすために,褥瘡の原因になると考えられている.しかし,骨盤の後傾と圧力やずれ力の関係性についてはいまだ明らかにされていない.そこで,本研究ではセンサユニットや計測用のイスを開発し,骨盤を0° /から30° まで後傾させた際の仙尾骨部と坐骨部にかかる垂直方向および水平方向の力の変化について検証をおこなった.60歳以上の標準体重の男女18名の計測結果から,骨盤後傾角度の増加にともなって仙尾骨部にかかる垂直方向の力と水平方向の力が増加することが確認された.これにより骨盤の後傾と仙尾骨部褥瘡の発生との関連性が示唆された.