2016 年 32 巻 2 号 p. 83-85
脳血管障害者の手の機能の再構築におけるスプリント療法は,患者にとって重要な選択肢の1つであり,セラピストにとっても不可欠な治療技術である.今回は手の機能の再構築を助けるスプリント療法として3つのスプリントを活動参加の一手段として示した.このうち夜間用安静スプリントは,筋の絶対長を確保すると同時に筋の収縮度を確保し,伸筋の収縮を可能とする.New spiderは手指の伸展を補助し,早期からの把持訓練を可能とする.さらに達成感を引き出し,その後の訓練意欲を高め,相乗効果を生む.またコイル式カックアップスプリントは,手の動作時の生理的共同運動を補助し,把持訓練の早期導入が可能となる.このように,スプリントの使い分けで,機能的予後を高めるとともに回復を早めることも可能となり,その効果は大きい.