2016 年 32 巻 4 号 p. 216-219
国際的にadapted physical activity (APA)と称される研究分野からうまれた造語であるアダプテッド·スポーツの意味とアプローチの独自性,その将来的な方向性について概説した.なぜ,アダプトするかに関しては,特別支援教育でよく用いられる“合理的配慮”の概念を援用し公正さ(equity)を実現するという考え方と,一定の合理的配慮を行った上でさらに平等性(equality)を担保するためのレギュレーションに則って競技を行うパラリンピック種目との異同について論じた.アダプトすることによって,身体的差違の大きな者同士がともに身体活動を楽しむ公正な状況·環境が実現し,広く体験されることを通してインクルーシブな市民社会の形成へつながる可能性を強く願うものである.