2017 年 33 巻 1 号 p. 40-45
皮膚トラブルは,義肢装具の使用における大きな阻害因子の1つである.皮膚トラブルの原因には,力学的要因と生物学的要因の2つがある.力学的要因は圧力とせん断力によるもので,装着時には効率的な力の分散がなされなければならない.ライナーは圧力分散に優れているが,適合が十分でない場合には,たとえライナーを装着していても傷はできる.生物学的要因は感染によるもので,装着時の温湿状態が感染のリスクを高めるため,衛生管理は極めて重要である.皮膚トラブルを防ぐには,自己管理に向けた教育を入院訓練中に行うことが重要であり,退院後も義肢装具使用者に対し皮膚トラブルを早期に発見し,対処できる体制が必要である.