2017 年 33 巻 1 号 p. 67-70
義手は,処方後しばらくすると,使用中止や使用頻度の低下に至ることがある.使用者が訴えるその主な理由として,装着が快適でない,重さ,頚部から肩にかけての痛み等が挙げられる.我々は,前腕切断1例,上腕切断2例の義手(前腕能動義手,前腕筋電義手,上腕能動義手,上腕装飾義手)において,シリコーンライナーとキャッチピン·シャトルロック機構による懸垂方法もしくはシールインライナーを用いた吸着式による懸垂方法を採用した.その結果,より快適な義手の装着や,懸垂性の向上とそれに伴う頚部から肩にかけての疼痛の改善等につながった.義足と同様,義手においてもシリコーンライナーは有用である.