大腿義足走行動作能力に関連する身体機能因子を検討する目的に研究を行った.評価項目は走行能力評価として20m走行時間,バランス評価としてTimed Up and Go test(以下,TUG),義足片脚立位時間,筋力評価としてハンドヘルドダイナモメーターを用いた等尺性筋力評価を実施した.各評価について走行群と非走行群で比較を行い,有意差のみられた項目についてはReceiver operating characteristic curves (ROC曲線)を描きカットオフ値を設定し,その診断能力をArea under the curve (AUC),感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,正診率をもとに検討した.その結果,走行群と非走行群では義足側股関節伸展筋力において有意差がみられ,さらに2群を分けるカットオフ値の診断能力が高いことが確認され,カットオフ値は0.14kgf/kgであった.また,義足側股関節外転筋力を組み合わせて評価することで,走行可能なものをより限定して評価することが可能であった.