高齢長寿社会において高齢者の歩行維持,つまり足病変の予防は我が国の重要な課題である.しかし,加齢とともに筋力低下,関節変形などが生じ,また糖尿病や動脈硬化などの慢性疾患を有する人も増加し,高齢になるに伴い足病変を有する人は増えている.足病変とは,変形,血流障害,浮腫,神経障害,皮膚病変などの複数の要因が複雑に絡まりあう多様な病態であり,多角的な視点でのアセスメントを必要とする.治療においては外科的治療,薬物療法だけでなく,フットケア,適切な靴の着用,靴装具の作製が有効であり,また,患者自身が行うセルフケアも重要となる.