2022 年 38 巻 3 号 p. 248-254
脳卒中片麻痺の歩行中の蹴り出しを改善するため,中足趾節関節の背屈運動を再現できるGait Solution短下肢装具を試作した.本研究では,反張膝を有する脳卒中片麻痺者1名を対象に,足底部を改良したGait Solution短下肢装具が歩行に及ぼす影響を検討した.対象者には,足底部に改良を加えたもの(改良型)と従来の足底部のGait Solution短下肢装具(従来型)と裸足の状態で歩行解析を実施した.その結果,改良型において,従来型より蹴り出し時の足関節底屈トルクが有意に増加(p<0.05)し,単脚支持期の腓腹筋の筋活動が増大した.これらの知見から,足底部を改良したGait Solution短下肢装具により,反張膝を有する脳卒中片麻痺者の蹴り出しが改善されることが示唆された.