短下肢装具が脳卒中者の歩行にどのような影響があるか,バイメカクスの観点から理解することは,短下肢装具の選定や使用に欠かすことのできない知識である.脳卒中者の歩行を対象とし,矢状面における短下肢装具の効果について解説する.また,足継手の種類,歩行のロッカー機能と短下肢装具の作用,下腿前後傾角度(Shank to Vertical Angle:SVA)に着目した評価のポイントについて述べる.さらに症例を通じて短下肢装具の使用により脳卒中者の歩容や筋活動が変化することを示す.
足底腱膜炎における疼痛箇所の違いが足部アーチの特徴や後足部アライメントの違いとどのような関係にあるかを調査し,足底挿板の設計を行うことを目的とする.足底腱膜炎と診断された32例52足を対象とし,疼痛箇所を踵部と踵部以外の内側アーチ部の2カ所とした.痛みの評価は,Visual Analog Scaleにて計測し,足部アーチ機能をNavicular Drop testにて評価した.踵部に疼痛は,後足部回外が多く,内側アーチ部の疼痛は後足部回内が多数であった.また踵部の疼痛はNavicular Drop testの値は低く,後足部回外との相関性が得られた.今回の調査から足底挿板の設計を行い,各症例1例に対しての有効性が確認された.足底挿板製作において,荷重分散や緩衝材などを用いて製作する前に,後足部の誘導を行うことが大事だと思われた.
多電極筋電義手に対応することを目的にオットーボック社によって開発されたMyo Plus systemは,ソケット内に電極8カ所を取り付け,それぞれの電極から抽出された筋電位をパターン化し1つの形として認識するという特徴がある.今回このシステムを使った筋電義手の操作訓練を初めて行ったため,その実施方法,スケジュール,問題点などについて報告する.訓練はオットーボック社の訓練用ツールを使用して進めた.断端8カ所での筋収縮の合成で8つのパターン図を作るという感覚を得る上でこのツールは非常に有効であった.その後の実地的な訓練までを通しては,断端残存筋の状態,これまでの筋電義手使用歴がトレーニング期間に影響を与えるのではないかということがわかった.多電極による筋電操作は今後多彩な義手コントロールを可能とするものとして大きな可能性を感じられる.