義手なしで日常生活動作が自立している3歳の先天性片側上腕形成不全児に対し上腕義手を処方し,訓練を実施した.訓練初期には義手の装着を拒否していたが,自転車用義手の試作を契機に義手の受け入れに改善がみられ,3年にわたる訓練の後,福祉制度による能動義手と作業用義手(体操用)の支給に至った.義手に対するニーズを把握し,家族の協力を得て操作獲得のための反復練習を行ったことが良い結果へつながった.一方,小児上腕義手用部品の選択肢が少ないという課題が明らかになった.先天性上腕形成不全例に対し義手の訓練を提供することは,前腕以遠の症例と同様に,身体の発達を促し,義肢を用いた日常生活動作を獲得するために重要である.