日本義肢装具学会誌
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原著
中足趾節関節の背屈運動が可能なソールを内装した油圧調整式短下肢装具による脳卒中片麻痺者の蹴り出しの変化
古屋 美紀鈴木 淳也斎藤 聡佳瀧川 順庸神尾 昭宏藤田 暢一米津 亮宮谷 定行淵岡 聡清水 順市平田 恵介藤本 庸浩
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2023 年 39 巻 4 号 p. 308-314

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抄録

我々は,脳卒中片麻痺者(片麻痺者)の蹴り出し改善を目的に,中足趾節関節の背屈が可能なソールを開発した.本研究の目的は,開発したソールが片麻痺者の蹴り出し改善に寄与するか検討することである.対象は自立歩行が可能な片麻痺者10名である.これらの対象者に,既存の油圧調整式短下肢装具(従来型)と我々が考案したソールを内装したもの(改良型)を用意し,歩行動作を記録した.その結果,改良型は従来型と比較し,前遊脚期の足関節底屈抵抗トルクが有意に増加した  (p<0.01).さらに,単脚支持期における腓腹筋の最大振幅値が有意に増加した  (p<0.01).これらの知見から,中足趾節関節の背屈運動が可能なソールによって,歩行中に効率的な足関節底屈運動を導引し,片麻痺患者の力強い蹴り出しに寄与することが示唆された.

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© 2023 日本義肢装具学会
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