2023 年 39 巻 4 号 p. 308-314
我々は,脳卒中片麻痺者(片麻痺者)の蹴り出し改善を目的に,中足趾節関節の背屈が可能なソールを開発した.本研究の目的は,開発したソールが片麻痺者の蹴り出し改善に寄与するか検討することである.対象は自立歩行が可能な片麻痺者10名である.これらの対象者に,既存の油圧調整式短下肢装具(従来型)と我々が考案したソールを内装したもの(改良型)を用意し,歩行動作を記録した.その結果,改良型は従来型と比較し,前遊脚期の足関節底屈抵抗トルクが有意に増加した (p<0.01).さらに,単脚支持期における腓腹筋の最大振幅値が有意に増加した (p<0.01).これらの知見から,中足趾節関節の背屈運動が可能なソールによって,歩行中に効率的な足関節底屈運動を導引し,片麻痺患者の力強い蹴り出しに寄与することが示唆された.