2024 年 40 巻 1 号 p. 24-28
切断術後初期は断端の形状が著しく変化する.切断術後初期の腫れた断端が徐々に小さくなる現象のことを断端の成熟と呼ぶ.断端の形状変化が著しい時期に訓練用仮義足を完成させてしまうと,すぐにソケットの適合が不良になり患者は義足の装着が困難となる.そのためリハビリテーション入院期間中にできるだけ断端を成熟させてから訓練用仮義足を完成させるようにする.断端の成熟を促すために,義足装着時以外はスタンプシュリンカーや弾性包帯を活用して断端を適度に圧迫すると同時に,早期の義足装着を目指す.義足のソケットは断端の成熟に合わせてキャストソケット,チェックソケット,ラミネートソケットの3種類を活用する.この時期に推奨される懸垂方法はピンロック懸垂,ランヤード懸垂,カフベルト懸垂である.訓練用仮義足完成後も断端の成熟は進むため,適合に応じたソケットの調整や本義足への移行が必要である.