日本においては,人口動態の変化,経済成長の鈍化,社会保障費の上昇により保健医療制度の持続性が懸念されている.価値の高いサービスをより低コストで提供するうえで必要な,医療技術の費用対効果の測定や症例データベースの構築,データの活用などにおいて,医療現場主導の取り組みが求められている.ウェアラブルデバイスなどを用いた義肢装具の効果判定によって得られたエビデンスは,単に義肢装具の費用対効果を示すための材料になるだけでなく,義肢装具技術の向上,根拠に基づいた実践,ガイドラインの作成,保険適用の検討など,様々な場面において活用が可能である.また,医療費削減に寄与するために,義肢装具のノウハウを未病者の予防や患者の重症化予防に活用することや,これまで及んでいなかった分野へ応用・展開していくことが必要と思われる.