2005 年 22 巻 p. 643-650
近年, 公共交通軸の概念がいくつかの都市交通マスタープランで検討されているが, 具体的イメージを欠いたまま概念のみが先行している懸念がある。本研究は, 公共交通軸の我が国への適用可能性を考察し, 今後の公共交通整備のための知見を得ることを目的としている。まず, わが国におけるバスや路面電車の高頻度運行区間を抽出し, その実態と特徴を整理した。分析では, 各種データを活用し、公共交通軸空間沿線の交通特性等の特徴を経年変化から読み取った。結論として, 特にTODを意識していない地方都市の公共交通軸空間でも, 公共交通分担率を高い水準で維持していることが分かった。一方, 人口・商業指標に基づく郊外化の進行を踏まえ, 都市計画と交通計画の連携の必要性を示唆した。