2025 年 41 巻 3 号 p. 207-211
近年,義肢装具士養成教育において,車椅子・シーティングの学習が重要視されている.高齢化の進行や障害者支援の拡充に伴い,シーティング技術の習得は,義肢装具士の基本的なスキルの1つとなりつつあると考えられる.本稿では,新潟医療福祉大学における車椅子・シーティング教育のカリキュラムとその内容について紹介する.本学では,従来の製作中心であった教育から,対象者の評価を重視し,シーティング技術を考える実践的な授業へと切り替え,シーティング技術を体系的に学ぶ機会を提供している.講義と実習を組み合わせたカリキュラムのもと,車椅子の構造や適応疾患,姿勢評価の手法,適合技術などを学ぶ.特に,座位姿勢計測器や圧力分布測定技術の活用により,科学的根拠に基づいた適合評価を行う能力を有する学生の育成を目指している.さらに,作業療法士や理学療法士など他職種との連携も取り入れ,チームアプローチの観点からも臨床における実践力を強化している.しかし,義肢装具士養成教育におけるシーティング教育には,標準化された教育プログラムの不足や,実践的な適合スキルの習得の限界といった課題も多く存在する.今後は,多職種連携を意識した教育の拡充や,新技術を活用した評価・適合プロセスの確立が求められる.適切な車椅子・シーティングの提供は,対象者のQOL向上だけでなく,活動性や社会参加の促進にも寄与するため,義肢装具士養成教育において重要な役割を果たすことが期待されると考えられる.