2025 年 41 巻 3 号 p. 212-217
交通外傷により第5胸髄残存完全対麻痺となり,右橈骨遠位端骨折と舟状月状骨解離を併発した症例を経験した.右手関節への荷重は52病日まで禁止されプッシュアップ動作は困難であった.手関節への負荷の最小化,早期から移乗動作を獲得することを目的にダイヤル式ケーブルロックシステム(BOAキット)を用いた手関節免荷装具を製作した.73病日に装具装着下のプッシュアップ動作練習を開始し,113病日に床上動作,移乗動作を獲得できた.装具装着の利点として,プッシュアップ動作時の手関節部への荷重の回避と疼痛軽減,舟状月状骨解離の増悪の予防,床上動作・移乗動作の反復練習を可能にしたことが挙げられる.