2001 年 17 巻 2 号 p. 122-129
短下肢装具を使用しての歩行は, 装具によって発生する適切な発生モーメントによって改善される. しかし, 後方板ばね支柱付きプラスチック短下肢装具 (以下, 後方板ばねAFOと略す) は最も多く処方されている短下肢装具であるにもかかわらず, 機械特性の定量的な評価の研究は少ない. 本研究では, 後方板ばねAFOの形状に着目し, 足関節に加わるモーメントを定量的に発生する方法を開発した. 陽性モデルは足関節部分に規格化部品を埋め込み, そのほかは下肢形状に適合するように修正した. 陽性モデルにポリプロピレンを成形し, 規格化部品を埋め込んだ部分のみ形状が一定となるようにした. 発生モーメントの調節は規格化部品により一定となった部分のトリミング幅の規定によるものとした. その結果, 対象とした後方板ばねAFOでトリミング幅ごとに, 発生するモーメントの差の有意性を確認することができた. また, 片麻痺者へ装着し調整を行うことで, その有用性についても考察した.