女性心身医学
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地域基盤型の更年期ヘルスケア構築に向けた住民ニーズの地域差の検討 : 45〜55歳女性の都市部と農村部における比較
島 明子高波 澄子
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2007 年 12 巻 1-2 号 p. 299-308

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抄録
本調査は,住民ニーズに基づいた地域基盤型の更年期ヘルスケアシステムの構築に向けて,都市部と農村部における更年期のヘルスケアサービスへのニーズと更年期症状の発現割合について,地域差を明らかにすることを目的としている.北海道在住の45〜55歳の女性を対象とし,更年期症状の重症度とヘルスケアサービスへのニーズについて自記式質問紙郵送調査を行った.質問紙には,更年期症状の把握に簡略式更年期指数(SMI)を使用し,ヘルスケアサービスへのニーズの把握にはインタビューを基に作成した40項目の質問紙を使用した.結果は,回答率47%で分析対象者は271名となった.更年期症状の発現割合について,農村部と都市部では有意な差を認めなかったが, SMIが51点以上の医学的介入を要する割合は,農村部で29%,都市部で23.9%を示した.ヘルスケアサービスへのニーズについて,両地域で有意差を認めたのは4項目で,農村部では「更年期症状とは何かを知りたい」,「家族の目の届かないところで相談したい」が有意に高く,都市部では「相談場所を知りたい」,「相談方法を知りたい」が高かった.農村部では,農業従事者のライフスタイルや家族形態を考慮した情報提供体制の拡充や相談場所の工夫の必要性が示唆された.都市部では,仕事の環境に応じた相談体制の必要性が示唆された.
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© 2007 一般社団法人 日本女性心身医学会
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