抄録
神戸大学医学部附属病院では、低栄養に加えて電解質異常の管理も重要であるとの観点からNutrition & Electrolyte Support Team (NEST) として活動している。他方、急増する末期腎不全の予備軍としてChronic Kidney Disease (CKD) という概念が注目されている。本研究ではNEST回診の対象症例における電解質異常の現状を明らかにするため、CKD stage別に電解質異常の頻度を解析した。NEST対象症例には一般人口に比較して腎機能低下例が多く、それに伴い電解質異常の頻度が増加した。腎機能低下例では、高カリウム血症、低カリウム血症、高リン血症をきたしやすく、腎機能非低下例に対するオッズ比はそれぞれ2.196、2.928、10.01と高かった。そのため電解質異常も視野に入れた栄養管理をする必要があると考えられた。