女性心身医学
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肥満中年女性における複合トレーニングの実施が身体的および精神的要素に及ぼす効果
前田 有美横山 典子久野 譜也
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2007 年 12 巻 3 号 p. 481-491

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抄録
本研究の目的は,肥満中年女性を対象にして,筋力トレーニングおよび有酸素性トレーニングを併合した複合トレーニングを実施することによって生じる,身体的要素および精神的要素の効果について検討することである.対象は,減量運動教室(教室)の募集に参加した中年女性27名(平均年齢: 56.9±4.5歳,平均体脂肪率: 36.1±2.0%)とした.教室開始前および終了後に測定および調査をし,身体的要素においては,身体組成として体重,BMI,体脂肪量,大腿伸筋群,大腿屈筋群,大腰筋の筋横断面積,および血清脂質の測定,精神的要素においては,自記式にてSTAIを用いた特性不安および状態不安,GHQ28を用いた精神健康度を調査した.また,自記式での食事調査を実施した.教室における運動プログラムは,筋力トレーニングおよび有酸素性トレーニングの両者を実施する複合トレーニングとし,期間が10週間,頻度は大学施設内で週2回および自宅で週3回の合計週5回とした.教室期間中における目標歩数は1日8,000歩として歩数を計測し,目標摂取エネルギー量は1日あたり1,800kcalとした.結果は,身体的要素において,体重,BMI,体脂肪量,LDLコレステロール,総コレステロール,トリグリセライドが教室開始前と比較して,終了後で有意に減少した(p<0.05).また,大腿伸筋群,大腿屈筋群,および大腰筋の筋横断面積は教室開始前と比較して,終了後で有意に増大した(p<0.01).精神的要素においては,特性不安,状態不安,およびGHQ28の下位要素である社会的活動障害が教室開始前と比較して,終了後で有意に減少した(p<0.05).以上の結果から,肥満中年女性を対象にした複合トレーニングは,身体組成,血清脂質,不安,および社会的活動障害を改善させ,身体的要素および精神的要素の両要素に好結果をもたらすことが示唆された.
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© 2007 一般社団法人 日本女性心身医学会
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