女性心身医学
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研究報告
ベビーマッサージの生理・心理学的評価—唾液中コルチゾール濃度・気分プロフィール検査を用いた検討—
香取 洋子立岡 弓子
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2018 年 23 巻 2 号 p. 138-145

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抄録

【目的】本研究の目的は母親が乳児に対して行うベビーマッサージの効果を,生理学的・心理学的指標を用いて測定し,母子双方への効果について検討することである.【方法】対象は地域で開催されるマッサージクラスに参加した母子18組.生理学的ストレスの評価には唾液中コルチゾール濃度を用い,マッサージの開始前・終了後30分・終了後60分後に母子の唾液採取を行い時期別に比較した.母親の心理的評価には気分プロフィール短縮版(POMS)を用い前後比較した.【結果/考察】乳児の唾液中コルチゾール濃度についてはマッサージ前より終了後60分に有意に低下した(p=.005).一方,母親の唾液中コルチゾール濃度は,マッサージ前よりも終了後30分が有意に高まり(p=.008),マッサージ開始前と終了後60分の間には有意差は認められなかった.母親のPOMS得点は「緊張—不安」,「疲労」,「混乱」の下位尺度において,マッサージ開始前に比べ終了後30分に有意に得点が低下した(p<.05).母親が乳児にマッサージを行うことにより,乳児のストレスの緩和および母親の気分を改善させる可能性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本女性心身医学会
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