女性心身医学
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研究報告
若年女性における月経関連症状・視力とトランス脂肪酸および飽和脂肪酸摂取量の関係
野田 久美子野田 絵莉衛藤 遼太櫻井 秀彦三浦 淳
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2020 年 25 巻 1 号 p. 26-33

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抄録

【背景・目的】トランス脂肪酸(TFA)は海外において様々な疾患との関係が示されている.TFAは主に菓子・ファストフード類に使用され,若年層で摂取が多いと予測されるが,彼らの健康への影響は不明である.本研究は若年層における身体症状の有無とTFA摂取量の関係を明らかにすることを目的として行った.【方法】北海道科学大学薬学部新入生(女子)93人を対象に過去1年間のTFAを含むと考えられる食品について摂取量および調査時点での身体症状(月経不順・月経痛・不眠・頭痛・アレルギー・にきび)に関してアンケート調査を行い,視力検査による視力の高低と共に身体疾患の有無によるTFA摂取量の差を比較した.同様に,TFA含有製品に含まれている飽和脂肪酸(SFA),総脂質,炭水化物の摂取量の差も比較した.【結果】回答内容に欠損のない81名において,身体症状の有無による年齢,身長,体重,BMIの平均値に差はなかった.月経痛あり群は月経痛なし群と比較してTFA,SFA,炭水化物,総脂質の摂取量は有意に高かった(TFA, 2.08±1.36 g vs. 1.39±0.99 g, P=0.037;SFA, 61.5±3.99 g vs. 43.2±31.1 g, P=0.048;炭水化物,347±235 g vs. 219±135 g, P=0.040;総脂質,190.1±111.7 g vs. 122.0±87.7 g, P=0.017).また,月経不順あり群は月経不順なし群と比較して総脂質摂取量に対するSFA摂取量の割合が高い傾向にあった(0.400±0.084 vs. 0.350±0.066, P=0.059).視力低下群では正常群と比較して総脂質摂取量に対するTFA摂取量の割合が高い傾向にあった(0.0113±0.0013 vs. 0.0107±0.0011, P=0.053).【考察】若年層においてはTFAの摂取が月経周辺症状や視力に影響している可能性がある.

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© 2020 一般社団法人 日本女性心身医学会
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