女性心身医学
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研究報告
健康的または不健康と認識される単回の食事摂取が若年女性の自尊心とポジティブボディイメージに及ぼす影響
守本 彩乃権田 真橋本 愛加湯面 百希奈髙山 祐美奥薗 美代子半澤 史聡永井 成美
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2023 年 28 巻 2 号 p. 211-221

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抄録

米国人若年女性対象の先行研究では,不健康と認識される食事(Unhealthy,以下UH食)の摂取が,自尊心やボディイメージ(Body image:以下BI)に一過性に悪影響を及ぼすことが,健康と認識される食事(Healthy,以下H食)との比較により示されている.しかし,H食がポジティブな心理的反応を惹起するかどうかは依然不明である.本研究では,日本人若年女性を対象として,健康度の認識が異なる食事が自尊心やボディアプリシエーション,BIに及ぼす影響を摂食試験により明らかにすることを目的とした.試験食は,エネルギー(497 kcal)と重量(735 g)を同じに調整したH食(主食・主菜・副菜・汁物を含む和食,P:F:C=18:22:60)とUH食(ドーナツと甘い飲料,P:F:C=5:52:43)とした.前夜22時から絶食した若年女性13名に無作為な順序で,異なる2日間の午前9時過ぎに試験食を負荷し,摂取前から2時間後まで,自尊心(Rosenberg自尊感情尺度,Rosenberg 1965),ボディアプリシエーション(日本語版Body Appreciation Scale-2:以下BAS-2,生田目2017),現在と理想のBI(日本人版ボディイメージ質問紙,湯面2021),食欲感覚(日本語版食欲質問紙,永井2012)を被験者による自記にて,食前から摂食2時間後まで経時的に測定した.自尊心は,摂取直後のスコアがH食では高まりUH食では低下するという逆の反応が示され,試験食間で経時変化のパターンが有意に異なっていた(Meal×Time, p=0.020).BAS-2は,H食摂取後にUH食よりも有意に高いスコアで推移した(Meal effect, p=0.028).統計的有意性には達しなかったが,理想のBIはH食摂取後ではUH食よりも高値(大きいサイズ)で推移した(Meal effect, p=0.053).結論として,日本人若年女性において,健康的と認識される食事の摂食後には,自尊心やボディアプリシエーションが一過性に高まることが示唆された.

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© 2023 一般社団法人 日本女性心身医学会
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