女性心身医学
Online ISSN : 2189-7980
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28 巻, 2 号
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巻頭言
特集 第35回日本女性心身医学会研修会報告
研究報告
  • 池袋 真, 白土 なほ子, 水谷 あかね, 宮上 景子, 山崎 あや, 佐藤 陽子, 松岡 隆, 関沢 明彦
    2023 年 28 巻 2 号 p. 199-204
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/04
    ジャーナル フリー
  • 香川 香
    2023 年 28 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/04
    ジャーナル フリー
  • 守本 彩乃, 権田 真, 橋本 愛加, 湯面 百希奈, 髙山 祐美, 奥薗 美代子, 半澤 史聡, 永井 成美
    2023 年 28 巻 2 号 p. 211-221
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/04
    ジャーナル フリー

    米国人若年女性対象の先行研究では,不健康と認識される食事(Unhealthy,以下UH食)の摂取が,自尊心やボディイメージ(Body image:以下BI)に一過性に悪影響を及ぼすことが,健康と認識される食事(Healthy,以下H食)との比較により示されている.しかし,H食がポジティブな心理的反応を惹起するかどうかは依然不明である.本研究では,日本人若年女性を対象として,健康度の認識が異なる食事が自尊心やボディアプリシエーション,BIに及ぼす影響を摂食試験により明らかにすることを目的とした.試験食は,エネルギー(497 kcal)と重量(735 g)を同じに調整したH食(主食・主菜・副菜・汁物を含む和食,P:F:C=18:22:60)とUH食(ドーナツと甘い飲料,P:F:C=5:52:43)とした.前夜22時から絶食した若年女性13名に無作為な順序で,異なる2日間の午前9時過ぎに試験食を負荷し,摂取前から2時間後まで,自尊心(Rosenberg自尊感情尺度,Rosenberg 1965),ボディアプリシエーション(日本語版Body Appreciation Scale-2:以下BAS-2,生田目2017),現在と理想のBI(日本人版ボディイメージ質問紙,湯面2021),食欲感覚(日本語版食欲質問紙,永井2012)を被験者による自記にて,食前から摂食2時間後まで経時的に測定した.自尊心は,摂取直後のスコアがH食では高まりUH食では低下するという逆の反応が示され,試験食間で経時変化のパターンが有意に異なっていた(Meal×Time, p=0.020).BAS-2は,H食摂取後にUH食よりも有意に高いスコアで推移した(Meal effect, p=0.028).統計的有意性には達しなかったが,理想のBIはH食摂取後ではUH食よりも高値(大きいサイズ)で推移した(Meal effect, p=0.053).結論として,日本人若年女性において,健康的と認識される食事の摂食後には,自尊心やボディアプリシエーションが一過性に高まることが示唆された.

症例報告
  • 松岡 竜也, 岡村 麻子, 鍔田 芙実子, 東出 凌, 野間 友梨子, 佐久間 早希, 竹谷 陽子, 北野 理絵, 塚田 貴史, 市川 麻以 ...
    2023 年 28 巻 2 号 p. 222-231
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/04
    ジャーナル フリー

    身体症状症および関連症群は,「症状が多彩で,経過が長く,背景因子が複雑に絡む」という特徴を有する.患者が訴える症状に対して西洋医学的検査を繰り返し施行しても結果が陰性であると,「医学的に説明がつかない」として医療者を混乱させる.それらは「不定愁訴」あるいは,患者が女性の場合には躊躇なく「更年期障害」などと診断され,産婦人科を紹介受診する症例は日常診療においてしばしば経験する.今回,そのようにして当科を受診した40~50歳代女性の身体症状症および関連症群に対し漢方治療を行った.一般に身体症状症および関連症群に対する薬物療法は治療の中心にはならないが,漢方治療は四診を行い,患者に寄り添い支持することを基本理念としているため,一般心理療法に通じる非薬物療法も同時に実践できる.漢方医学において陰(血・水)と陽(気)の調和がヒトの恒常性を保つのに不可欠とされるが,ストレス社会ではこれらが不調和となった結果,心身に支障を来す.原典の『金匱要略』は,これを「気分」と記載している.古典医学的に定義された気分が,「快・不快など,ある程度持続する心身の状態」を指す現代語に通ずるところは興味深い.気分の改善薬に桂姜棗草黄辛附湯があり,気を巡らすことにより血・水を巡らせ,心身の状態を整える.エキス剤では,桂枝湯と麻黄附子細辛湯を併用し桂枝湯合麻黄附子細辛湯として代用することが多い.今回,他院で見放された慢性疼痛や20年もの間悩まされていた冷えが,桂枝湯合麻黄附子細辛湯を4~6週内服して改善した.あらゆる検査で異常がないことより「気のせい」などと軽視されがちな身体症状症および関連症群の諸症状は,漢方医学的にはまさに「気」のせいで起きており,それが整う方向へ導く治療法として桂枝湯合麻黄附子細辛湯が奏効した.

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