新型コロナウイルス感染症拡大により,配偶者による暴力(Intimate Partner Violence:以下IPV)は増加している.本研究では,産後1年以内のIPVの実態を把握すること,IPVによる関連要因を検討することを目的に,インターネットによる質問紙調査を行った.質問紙調査では,基本属性,コロナ禍による生活の変化を聴取した.また,IPVに関するスクリーニングとしてVAWS(Violence Against Women Screen),精神的健康状態として抑うつと不安について聴取した.さらに首尾一貫感覚(Sense of Coherence)および身体感覚の気づき(失体感尺度),健康関連QOL(SF-12v2)を聴取した.対象は産後1年以内の女性で,932名に説明文及び回答用のURLを送付し,787名より回答を得た(回答率84.4%).最終的に615名が解析対象となった.その結果,IPV陽性は全体の32.0%(418名)に及び,先行研究より高率であった.IPV陽性群と陰性群の群間比較では,年齢,子どもの人数,失体感尺度,首尾一貫感覚,HRQOLの精神的側面,役割/社会的側面に違いがあることが明らかとなった.また,不安や抑うつも高率にみられていた.身体症状としては慢性疲労や頭痛がIPV陽性群に高率にみられ,日常生活が自立していると過小評価してしまう可能性が示唆された.IPV陽性に影響を及ぼす因子としては,相談相手がいないこと,体感同定困難の傾向があること,首尾一貫感覚が低いことが影響していた.これらの結果は女性の健康のみならず,育児等にも影響を及ぼすことが考えられ,現在実施されているIPVのスクリーニングに加え,身体愁訴や心理的側面についての把握も必要であると考えられた.