女性心身医学
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20~30歳代の主に就業女性を対象にした月経前症候群(PMS)に関する調査
関 信二櫻田 美穂平澤 裕子辻 宏明松本 清一
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2000 年 5 巻 2 号 p. 142-149

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抄録

20〜39歳の主に就業女性233名を対象に,月経前の愁訴に関する意識調査を行った.さらにその中の104名に対し,月経前および月経中の愁訴に関する症状調査を即時記録方式で行った.意識調査の結果,216名(92.7%)が,月経前に身体的,精神的な何らかの変化を自覚しており,131名(56.2%)が心身の変化を気にしていることがわかった.月経前の愁訴に関する症状調査の結果では,月経前の黄体期に定期的に愁訴が発症し,生活に影響を及ぼす程度の症状を一つでも有する人(A群)は53名(51.0%)存在し,さらに,生活に影響を及ぼすことはないが,同様に月経前の黄体期に定期的に愁訴が発症する傾向のある人(B群)は30名(28.8%)存在することがわかった.また,出産経験の無い,就業女性に限定して20〜30歳の年代別に傾向を見ると,30歳代の方が,症状の重さ,発症日数ともに有意に低い傾向が認められた.すなわち,今回の調査では,年齢と共にPMS症状は軽減し発症者も減少するが,ただ,年齢により発症する症状は異なることがわかった.月経時症状との関連について見ると, PMSの重い人は,月経時症状も重い傾向にあり,さらに,経時的な自然治癒傾向も弱いことがわかった.

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© 2000 一般社団法人 日本女性心身医学会
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