日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シダ植物の細胞壁はホウ酸によって架橋されたペクチン多糖ラムノガラクツロナンIIを含む
*石井 忠松永 俊朗松本 定樋口 正信マルカム オーニルアラン ダービルピーター アルバーシェーム
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p. 101

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抄録
ペクチン多糖ラムノガラクツロナンII(RG-II)は、種子植物の1次細胞壁に存在する複雑な構造を持つ多糖である。RG-IIは植物の必須微量元素であるホウ素(B)とホウ酸エステルを形成して、2量体(dRG-II-B)として存在する。最近、このホウ素によるRG-IIの架橋が植物の正常な成長に必須であることが示された。dRG-II-Bは種子植物に普遍的に存在することが知られているが、シダ植物やコケ植物中にdRG-II-Bが存在するかは不明である。そこで、シダ植物とコケ植物から細胞壁をアルコール不溶部分として調製し、植物体と細胞壁に含まれるBを定量した。また、LC/ICP-MSにより細胞壁中のdRG-II-B量を定量した。シダ植物からはdRG-II-Bを単離し、糖組成等の構造解析を行った。
シダ植物の細胞壁は種子植物とほぼ同程度のBを含み、細胞壁に存在するBの約半分はdRG-II-Bとして存在した。この値は種子植物とほぼ同じであった。シダ植物から単離したdRG-II-Bは種子植物のものとほぼ同じ構造を持っていた。一方、コケ植物の細胞壁はシダ植物の2/3程度のBを含んでいたが、dRG-II-Bとして存在するBは、細胞壁中に含まれるBの約1%という少量でしかなかった。
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© 2003 日本植物生理学会
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