日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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細胞接着に必須であるペクチン-グルクロン酸転移酵素遺伝子の時空間的発現
*岩井 宏暁石井 忠鎌田 博佐藤 忍
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p. 102

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抄録
高等植物の細胞接着の主役であるペクチン関しては、その生合成メカニズムや発現特性に関する知見は極めて乏しい。近年我々は、Nicotiana plumbaginifolia の半数体植物の葉切片にT-DNAを挿入して培養し、不定芽形成能力を失うと同時に、細胞間接着性の弱くなった突然変異体の作出法を確立した。そのうちの一つであるnolac-H18変異体の解析より、その原因遺伝子として新規ペクチングルクロン酸転移酵素遺伝子(NpGUT1; glucuronyltransferase 1)が同定された。この遺伝子は、植物のペクチン合成に関わる初めての糖転移酵素遺伝子で、頂端分裂組織で特に発現が強く、メリステム形成と共にホウ素の作用点であるラムノガラクツロナンII二量体の形成に必須であることが判明している(PNAS, in press)。本研究では、pNpGUT1::GUS形質転換タバコを用いて、各ステージの詳細な発現解析を行った。その結果、未熟種子胚の全体、および発芽直後の子葉および茎頂において強い発現が見られた。子葉の展開に伴ってその発現は減少し、その後は茎頂、篩管および維管束形成層での発現を示した。また、花においては、タペート組織、花粉、花粉管、花柱の伝達組織において発現が見られた。以上よりNpGUT1は、分裂組織および花粉などにおける細胞接着に重要な働きをしていることが示された。
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© 2003 日本植物生理学会
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