日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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キュウリ根導管液タンパク質XSP30の根維管束組織における産生とレクチン活性
*小田 篤作田 千代子鎌田 博佐藤 忍
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p. 103

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抄録
高等植物の導管液中には水、無機塩類、ホルモン類などの他に、多糖やタンパク質などの高分子物質が存在する。これまでに我々は、キュウリ根導管液中に存在するレクチン様タンパク質(XSP30)に着目し、キュウリ根における遺伝子発現の解析を行ってきた。その結果、根特異的なXSP30の発現は光周期に依存して日周変動し、その振幅はジベレリンによって制御されていることを明らかにしてきた。本研究では、XSP30の遺伝子発現の組織特異性とレクチン活性について解析を行った。XSP30のプロモーターによりGUSを発現させるキュウリ形質転換毛状根では、成熟した根維管束組織(木部柔組織、内鞘)にGUSの染色が見られた。また、XSP30のレクチン活性を糖タンパク質への結合性を指標として解析した結果、XSP30はN-アセチルグルコサミンを認識していることが明らかになった。さらに、キュウリ葉肉細胞中の高分子の糖タンパク質にはXSP30が結合する糖鎖が多く存在していた。以上の結果により、成熟した根維管束において産生されるXSP30が地上部器官の生理状態に影響を与えている可能性を考察する。
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© 2003 日本植物生理学会
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