抄録
スポラミンはアミノ酸配列中にN-結合型糖鎖付加モチーフをもたず、タバコ培養細胞BY-2 株で発現させた場合にN-末端側から36番目のProが水酸化後にアラビノガラクタン様糖鎖の付加を受けた分子として合成される。この性質を用いて我々はタンパク質へのアラビノガラクタン様糖鎖付加に関わる配列の解析を行っており、すでに、糖鎖付加部位前後の各5アミノ酸の領域が効率良い糖鎖付加に必須であることを明らかにしてきた。そこで今回、この領域の各アミノ酸残基を10種類程度のアミノ酸に置換した変異スポラミンを解析することにより、この領域の各アミノ酸のどのような性質が糖鎖付加に必要であるかを検討した。分泌型に改変し、アミノ酸置換を導入した変異スポラミンをBY-2細胞で発現させ、発現したスポラミンを形質転換BY-2の培地から免疫沈降により回収し、回収された変異スポラミンを電気泳動時のスメアリング程度を指標として糖鎖付加効率が低下した置換体候補を選抜した。これらの変異体を培地から精製後、エドマン分解によりプロリンの水酸化と水酸化されたプロリンへの糖鎖付加の程度を解析した。これらの結果をもとに、プロリン残基の水酸化と水酸化プロリンへの糖鎖付加に関わるアミノ酸配列の推定を行った。