抄録
スポラミンはサツマイモ塊根の貯蔵蛋白質であるが、タバコ培養細胞BY-2株で発現させるとN末端から36番目のプロリンが水酸化され(Hyp)、アラビノガラクタン様のO-結合型糖鎖付加修飾を受けることが分かっている。我々は今回、MALDI-TOF MSを用い、この糖鎖付加モチーフの同定を行った。
スポラミンをSDSで加熱変性させた後、数種のプロテアーゼを0.5 pmol加え15時間、37℃で消化反応を行い、消化効率をSDS-PAGEにより確認した。その結果、SDSを終濃度0.0125%で加え、プロテアーゼとしてTrypsinまたはEndoproteinase Asp-Nを用いたところ、スポラミンの消化断片が確認された。このプロトコールに従い調製したスポラミンの消化断片を、サンプルプレートに直接スポットし解析を行った。糖鎖修飾を受けないネガティブコントロールとして、大腸菌で発現させたリコンビナント蛋白質を用い、培地から回収される液胞輸送シグナルを欠失した変異スポラミンと、液胞から精製したスポラミンを比較したところ、どちらのスポラミンもHypとそれに続く1~3分子のPentoseをもつ最大9分子までのHexoseがピークとして確認された。現在1アミノ酸置換をしたスポラミンについても、糖鎖付加モチーフの解析を行っている。