日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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イネヒストン脱アセチル化酵素の発現解析
*辻 寛之雑賀 啓明堤 伸浩中園 幹生
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p. 115

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抄録
真核生物のゲノムDNAはヒストン8量体に巻きついて存在しており、この構造はヌクレオソーム構造と呼ばれている。ヌクレオソーム構造の弛緩、凝集は遺伝子の転写の活性化、抑制に影響すると考えられている。こうしたヌクレオソーム構造の変化にはヒストンの修飾が関わっており、ヒストンの修飾にはアセチル化、メチル化、リン酸化、モノユビキチン化が知られている。一般にヒストンがアセチル化されると転写活性が上昇し、脱アセチル化されると転写活性が減少する。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はヒストンの脱アセチル化を通して転写の抑制を行う酵素であり、酵母や動物ではHDACが転写の制御、ジーンサイレンシング、生物の寿命に関わっていることが知られている。本研究では植物におけるHDACの機能を解析する第一歩として、イネからHDAC遺伝子を同定しその発現の器官特異性、ストレス応答性などについて調べた。HDACはクラス1,2,3,とHD2タイプの4クラスが存在し、イネゲノム中には少なくともクラス1が7つ、クラス2が5つ、クラス3が2つ、植物特有のHD2タイプが2つ存在していた。これらの発現をRT-PCRで解析したところ、幼植物体で主に発現する遺伝子や穂で主に発現する遺伝子などがみつかった。またイネにいくつかの環境ストレスを与えてHDACの発現をRT-PCRで解析したところ、それぞれのストレスで誘導される遺伝子が見つかった。
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© 2003 日本植物生理学会
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