日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

同調化したクラミドモナスの配偶子形成系を用いた新規Nsg遺伝子群の発現プログラム解析
*阿部 淳久保 雄昭高木 靖之齊藤 達昭松田 吉弘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 16

詳細
抄録
 クラミドモナスは、窒素(N)飢餓条件下に置かれると、-Nストレスに対する適応プログラムだけでなく配偶子形成のプログラムも開き、栄養細胞から配偶子に分化する。私達は、クラミドモナスのcDNAマクロアレイを使って-N条件下で発現が顕著に上昇する約100クローンをスクリーニングし(Abeら、植物生理学会2002年度大会)、さらにその中から配偶子形成時に特異的に発現する19種類の新規NsgN-starved gametogenesis)遺伝子を単離した。本研究では、同調化した配偶子形成システムを用いて、これらのNsg遺伝子の発現プログラムを詳細に検討した。
 同調化したG1初期の栄養細胞を-N培地に移すと、約2時間後から配偶子形成が急激におこり4-5時間目には95%以上の細胞が配偶子になった。-Nに移してから8時間目までの1時間毎にサンプリングした細胞から調製したRNAを用いてノザン解析を行った結果、Nsg遺伝子は、その発現時期を、初期(1-2時間目;1遺伝子)、中期(3-4時間目;15遺伝子)、後期(6-7時間目;3遺伝子)の3クラスに分類された。また、数種類の既知の性分化遺伝子における発現パターンとの比較により、初期および後期発現遺伝子は-Nストレスに対する適応プログラムに関連するものである可能性が高く、一方、中期発現遺伝子は配偶子形成プログラムに関与することが示唆された。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top