日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ヒロハノマンテマの染色体末端特異的繰り返し配列Sl-distal-satDNAの多様性と局在
*風間 裕介杉山 立志松永 幸大内田 和歌奈Amr Mohamed AZEEZ河野 重行
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p. 17

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抄録

 ヒロハノマンテマはXY型の巨大な性染色体をもつ雌雄異株植物である.染色体末端には特徴的なサテライトDNA(Sl-distal-satDNA)が存在する.Sl-distal-satDNAは,常染色体では8対の両腕と3対の片腕に局在し,性染色体ではX染色体の両碗,Y染色体の片腕に局在する.構築中のBACライブラリーからSl-distal-satDNAの繰り返し構造を含む11個のBACクローンを単離した.単離されたBACクローンをそれぞれ6種類の制限酵素で処理し,Sl-distal-satDNAをプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行うと,ラダー状のバンドを示す制限酵素がBACクローンごとに異なることを見出した.それらの最小単位である約310bpの塩基配列を決定し,近隣結合法を用いて無根系統樹を作成したところ,11個のBACクローンより得られた繰り返し単位は,4つのクラスター(SacI,KpnI,E, Fファミリー)を形成した.染色体上の分布を調べるため,KpnIファミリーとSacIファミリーの配列をプローブとしてマルチカラーFISHを行ったところ,KpnIファミリーは7番染色体に存在することを見出した.Sl-distal-satDNAを構成する繰り返し単位は,ファミリー間で多様性を持ち,それを用いてヒロハノマンテマの各染色体を識別することが可能であることを明らかにした.

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© 2003 日本植物生理学会
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