日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

葉緑体ATP合成酵素γサブユニットのΔGlu210-Asp211-Glu212変異による酸化・還元調節の逆転
*中西 華代紺野 広記本橋 健吉田 右賢久堀 徹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 168

詳細
抄録
 葉緑体ATP合成酵素(CF1CFo)のγサブユニットは、バクテリアやミトコンドリアのF1のγサブユニットには見られない約35アミノ酸の挿入配列を持ち、この配列上のジスルフィド結合の解離(還元)により酵素が活性化する。私たちはすでに、好熱菌Bacillus PS3 F1(TF1)由来αβとCF1由来γによって再構成したキメラ複合体を用いて、チオール調節部位の二つのシステイン残基に隣接する酸性アミノ酸のクラスターを削除すると(ΔGlu210-Asp211-Glu212)、酵素の酸化・還元調節が逆転することを報告している。
 このような変異導入が、酵素一分子の回転調節にどのような影響を及ぼすかを調べるため、TF1γサブユニットにΔGlu210-Asp211-Glu212変異をもつCF1γ由来の調節領域を導入して、安定なキメラ複合体(α3β3γTCT ΔGlu210-Asp211-Glu212)を作製した。新たに作製したキメラ複合体でもATP加水分解活性は酸化条件で活性化され、酸化還元調節の逆転が確認できた。現在、この変異体を用いた一分子回転観察を行っており、その解析結果を併せて報告する。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top