日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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グルタチオン結合タンパク質の解析
*伊藤 寿岩渕 雅樹小川 健一
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p. 174

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抄録
植物細胞はストレスや病害抵抗性反応において活性酸素を生じ、それを認識する機構が存在するが、その詳細は不明である。そこで我々は、酸化状態によりグルタチオンが特定のタンパク質に結合することが、植物が活性酸素を認識する最初の段階であると考え、ビオチン標識したグルタチオンを利用し、グルタチオン結合タンパク質の同定を行った。
材料はアラビドプシスの培養細胞を用い、ビオチン標識したグルタチオンは、グルタチオンとbiotinamidocaproic acid 3-sulfo-N-hydroxysuccinimideを脱水縮合することによって得た。培養細胞をビオチン標識したグルタチオンとインキュベートし、界面活性剤を含まない緩衝液中で破砕した。遠心によって不溶物を除き、可溶性画分を得た。これを電気泳動、ブロッティングしたところ、ストレプトアビジンによって、ビオチン標識したグルタチオンが結合しているタンパク質がいくつか検出された。これよりグルタチオンが結合するタンパク質が存在することが示された。
これらのタンパク質を精製したところ、その一つはトリオースリン酸イソメラーゼであった。組み替えタンパク質を作製したところ、その活性はグルタチオンによって変化した。このことはトリオースリン酸イソメラーゼの活性が、細胞内のレドックスによって制御されていることを示唆している。
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© 2003 日本植物生理学会
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