日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ブラシノステロイドは半優性突然変異体constitutive differential growth 1-D (cdg1-D)の表現型異常を部分的に再現する
*武藤 秀樹矢部 尚登蓮沼 仰嗣山本 興太朗
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p. 178

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抄録
 cdg1-D は受容体様タンパク質・キナーゼのRLCKVII サブファミリーに属するCDG1 遺伝子が過剰発現した結果、多面的な表現型異常を示す半優性突然変異体である。cdg1-D は矮性で、葉は著しい上偏成長の結果、下側に丸まった形態異常を示し、胚軸や花茎、葉柄などが螺旋状、またはねじれて伸長する。また、光による成長制御にも異常をもち、白色光下で栽培した変異体の胚軸は野生型より著しく長くなる。野生型とcdg1-D の明所芽生えを用いて各種の植物ホルモンの影響を調べたところ、高濃度のブラシノライドで処理した野生型の芽生えは、胚軸の徒長と葉の上編成長を示し、cdg1-D に類似した形態をとった。また、cdg1-D の種子をEMS で処理したM2種子を用いて探索した結果、cdg1-D の表現型を完全に回復した復帰突然変異体を2系統単離した。これらはCDG1 遺伝子の機能を欠損した遺伝子内復突然帰変異体であった。この復帰変異のホモ接合体、すなわちCDG1 遺伝子の欠損したcdg1 変異体は野生型と変わらない形態とブラシノライド応答性を示した。これらのことから、CDG1 遺伝子はブラシノステロイドの生理作用に関与する可能性があるが、ブラシノライド応答系に必須な因子ではないことがわかった。
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© 2003 日本植物生理学会
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