抄録
ガラス精密研磨では、セリア系スラリーは循環しながら用いられている。この場合、スラリーには寿命があることが経験的に知られており、研磨速度の低下が始まるとスラリー交換を行うのが一般的である。したがって、スラリー寿命の解明はセリウム使用量低減に重要な因子であるが、その詳細は明らかではないのが現状である。そこで本研究では、セリア系スラリーの劣化挙動に着目し、ガラス研磨速度の経時変化を定量的に評価し、劣化要因を明らかにすることを目的とした。
その結果、研磨速度の劣化プロファイルは、研磨速度の低下が緩やかな領域(領域I)と、急激に低下する領域(領域II)に大別されることがわかった。また、スラリー寿命として重要な領域Iから領域IIへ遷移する時間は、スラリー濃度ではなく、ガラス研磨量に依存していることが示唆された。