日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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エンドウ種子の成熟と発芽に伴うブラシノステロイドおよびその生合成/代謝遺伝子発現の量的変動
*上野 雅昭野村 崇人高津戸 秀竹内 安智横田 孝雄
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p. 182

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抄録
我々はエンドウPisum sativum L. 種子の成熟と発芽におけるブラシノステロイド(BR)の生合成および代謝の役割を知るために、成熟と発芽の両過程における内生BRの含量をGC-MSを用いて定量した。さらにBRの生合成・代謝に関与するP450酵素遺伝子をクローニングし、RT-PCRによってその発現量を調べた。種子の成長にともない6-deoxoCSからカスタステロン(CS)への変換を触媒するD酵素の発現量が増大したが、これに比例してブラシノライド(BL)とCSの量が増加した。成長が終了するころにはD酵素の発現量が減少するとともに、BLとCSの量が激減し、6-deoxoCSが多量に蓄積された。したがって、このような現象にはD酵素が関与していると考えられた。また、代謝酵素BAS1は種子成長中に常に一定レベル以上あるため、完熟種子における6-deoxoCSの減少やBLとCSの消滅には、BAS1が関与していると考えられた。一方、6-deoxoCS以前の前駆体BRは完熟種子においても大きく減少はしなかった。したがって、これらのBRは種子における貯蔵型BRとして保持されていると考えられる。発芽過程におけるBRの内生量とBRの生合成・代謝遺伝子の発現量の変化は現在検討中である。
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© 2003 日本植物生理学会
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