日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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イネにおけるラット神経細胞グルタミン輸送担体ホモログ遺伝子の単離とその発現特性の解析
*早川 俊彦白戸 陽子石渡 裕山谷 知行
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p. 207

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抄録
 哺乳類のグルタミン酸作動性シナプスのグルタミン酸・グルタミン回路では、グルタミン輸送担体が重要な役割を担う。しかし、グルタミン輸送能が選択的に高いアミノ酸輸送担体は、植物では発見されていない。演者らは、イネにおける窒素代謝系遺伝子群のグルタミンを介した発現制御機構を解析することを目的として、イネよりラット神経細胞グルタミン輸送担体(rGlnT/rATA1)ホモログ遺伝子を単離した。
 rGlnT (rATA1)の推定アミノ酸配列をもとにイネESTデータバンクを探索した結果、有意な相同性を有するカルス部分cDNA (C10038)を見いだした。同遺伝子(OsGlnT)の完全長cDNAは、イネ根より5', 3'-RACE法にて単離した。また、OsGlnT遺伝子はゲノムDNAからPCR法にて単離した。OsGlnT遺伝子の約3.1kbの転写領域は、5個のイントロンにより分断された6個のエキソンから成り、11個の推定膜貫通領域を有する分子量50kDaのポリペプチドをコードしていた。OsGlnTは、アミノ酸配列レベルで哺乳類グルタミン輸送担体群(ATAs, SNs)と53- 60%の相同性を有した。系統樹解析の結果では、OsGlnTは、既法の高等植物アミノ酸輸送担体群とは分類が明確に異なり、哺乳類グルタミン輸送担体群とクラスターを形成した。また、OsGlnT転写産物は、イネの根及び葉身において、ほぼ恒常的に発現蓄積していた。現在、OsGlnT遺伝子のさらに詳細な発現特性の解析を行うとともに、同遺伝子産物の機能を検証している。
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© 2003 日本植物生理学会
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