日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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オオムギ水チャンネル遺伝子を過剰発現させた形質転換イネ緑葉での二酸化炭素透過性(拡散コンダクタンス)の上昇
*且原 真木半場 祐子柴坂 三根夫林 泰行早川 孝彦笠毛 邦弘
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p. 245

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抄録
水分子の膜輸送は、主として水チャンネルを介しておこなわれている。この水チャンネルを形成する膜タンパクがアクアポリンである。近年アクアポリンが水以外の低分子化合物に対する透過性も持つ例が知られるようになってきた。ヒトのアクアポリンAQP1はガス体の溶存CO2を輸送すると言われている。植物では生理学的実験から車軸藻節間細胞やソラマメ緑葉で水透過性とCO2透過性に相関があることが知られている。植物アクアポリンが二酸化炭素を透過させることをさらに直接的に示すことを目指して、本研究ではオオムギ水チャンネル(HvPIP2;1)を過剰発現させた形質転換イネの緑葉におけるCO2透過性(拡散コンダクタンス;gi)を測定した。giはCO212C/13C値から計算される(Hanba et al. Aust J Plant Physiol. 28:1075, 2001)。
サザンおよびノザン解析で遺伝子の導入が確認された形質転換イネT0カルスから再生した植物体の緑葉で、ウエスタン解析によりHvPIP2;1タンパクの発現が認められた系統について、自家受粉を繰り返しT2を得た。その緑葉を用いてgiの測定をおこなった。導入タンパクの発現が見られた系統では、光合成速度は非形質転換コントロールとほぼ同じ値であったが、giはコントロールの平均より20%ほど上昇しており、導入タンパクの発現が高い個体ほどgiも高い傾向が認められた。
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© 2003 日本植物生理学会
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